大判例

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仙台地方裁判所 昭和55年(わ)556号・昭55年(わ)555号・昭55年(わ)554号・昭56年(わ)74号・昭56年(わ)73号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【説明】

本件は、仕立券付き背広服地の収受に係る収賄事件において、右服地を仕立てた背広上下が押収された場合であるが、検察官より、右服地は仕立てにより原型が一変し新たな衣類に変化している点を考慮して追徴の求刑がなされたのに対し、裁判所は、右押収に係る背広上下は犯行により収受した賄賂である仕立券付服地を仕立てたものであるからとの理由で没収の言渡しをしたものである。なお、類似の判例としては、名古屋高判昭26.12.10(高刑集四(下)一八頁)がある。

【判旨】

(罪となるべき事実)

被告人古内幸夫(以下「被告人古内」という。)は、宮城県技術吏員であり、昭和五一年四月一日から同県大河原土木事務所建設第二課長として、同県知事及び同知事の委任を受けた同土木事務所長が発注する河川、海岸、砂防等工事等に関する設計、工事監督、検査等の職務に従事していたもの、

被告人三瓶一夫(以下「被告人三瓶」という。)は、同県技術吏員であり、昭和五〇年四月一日から同土木事務所建設第二課第三係長として、同県知事及び同知事の委任を受けた同土木事務所長が発注する河川、砂防等工事等に関する設計、工事監督、検査補助等の職務に従事していたもの、

被告人遠藤善一郎(以下「被告人遠藤」という。)は、土木建築工事の請負、設計施工等を営業目的とする株式会社遠藤組の取締役であつたものであるが、

第一 被告人古内は、昭和五四年二月二五日ころ、仙台市子平町八番一号の自宅において、被告人遠藤から、前記土木事務所長が前記会社に発注した成沢砂防ダム工事に関し、その履行期限内に工事が完成しないことについて、関係書類上等で期限内に右工事が完成したように取り計らつてほしい趣旨及び今後職務上種々便宜な取扱いを得たい趣旨のもとに供与されるものであることの情を知りながら、仕立券付き背広服地一着(時価一〇万円相当―昭和五六年押第三一号の一はその服地を仕立てたもの)の供与を受け、もつて自己の前記職務に関して賄賂を収受し

第二 被告人三瓶は、<中略>

昭和五四年二月二五日ころ、同所において、被告人遠藤から、前記の成沢砂防ダム工事に関し、その履行期限内に工事が完成しないことについて、関係書類上等で期限内に右工事が完成したように取り計らつてほしい趣旨及び今後職務上種々便宜な取扱いを得たい趣旨のもとに供与されるものであることの情を知りながら、仕立券付き背広服地一着(時価一〇万円相当―昭和五六年押第三一号の二はその服地を仕立てたもの)の供与を受け、<中略>

もつて、それぞれ自己の前記職務に関して賄賂を収受し<たものである。>

(法令の適用)

被告人古内の判示第一及び被告人三瓶の判示第二の一、二、三の各所為は、いずれも行為時においては昭和五五年法律第三〇号による改正前の刑法一九七条一項前段に、裁判時においては右改正後の同法一九七条一項前段にそれぞれ該当するが、右は犯罪後の法令により刑の変更があつたときに当たるから、刑法六条、一〇条により軽い行為時法の刑によることとし、被告人三瓶の判示第二の四、五、六の各所為はいずれも右改正後の同法一九七条一項前段に、被告人遠藤の判示第三の一の1ないし4及び同第三の二の各所為はいずれも昭和五五年法律第三〇号による改正前の刑法一九八条一項(一九七条一項前段)、罰金等臨時措置法三条一項に、同被告人の判示第三の一の5の所為は右改正後の刑法一九八条(一九七条一項前段)、罰金等臨時措置法三条一項にそれぞれ該当するところ、被告人遠藤の各罪につき所定刑中いずれも懲役刑を選択し、被告人三瓶及び同遠藤の以上の各罪はそれぞれ刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により、被告人三瓶については刑及び犯情の最も重い判示第二の五の罪の刑に、被告人遠藤については犯情の最も重い判示第三の一の5の罪の刑にそれぞれ法定の加重をし、各所定刑期ないし加重した刑期の範囲内で、被告人古内を懲役五月に、同三瓶を懲役一年に、同遠藤を懲役一〇月にそれぞれ処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から被告人古内に対し二年間、被告人三瓶及び同遠藤に対し各三年間、それぞれその刑の執行を猶予することとし、押収してある背広上下(紺地に縦じま模様)一着(昭和五六年押第三一号の一)は、被告人古内が判示第一の犯行により収受した賄賂であるお仕立券付き服地を仕立てたものであり、同じく背広上下(黒地に縦じま模様)一着(同号の二)は、被告人三瓶が判示第二の三の犯行により収受した賄賂である仕立券付き服地を仕立てたものであるから、同法一九七条の五前段によりこれらをその被告人から没収し、被告人三瓶が判示第二の一、二、四、五、六の各犯行により収受した賄賂はいずれも没収することができないので、同法一九七条の五後段によりその価額合計金三三万円を同被告人から追徴することとする。

(小林隆夫)

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